[ポレポレ農園主のトレンドライン]

2012年 3月18日〜24日

2012/03/18(Sun) アルバイトの吉田さん

最近よく買い物に行く近所のスーパーがある。
南房総に、チェーン店がいくつかある店なので
決して小規模ではないが、
レジの方とお客さんがいつも親しく会話している風景から、
地元に根ざした店である。

夕刻の込み合う前に出かけたので、レジは空いていたが、
その後の袋に詰めるスペースがいっぱいだった。
カゴを手にキョロキョロしていると、後ろから
「お客様、こちらで詰めましょうか?」
振り向くと、つい先ほどレジの精算をしてくれた女性店員の方であった。

絶妙なタイミングが、心地良かったので、
名札を見ると「アルバイト 吉田(さん)」とあった。
20歳前くらいの若い人。

彼女のさり気ない対応がとても自然で、
CS(顧客満足度)を高めるためには、
先回りする配慮が大事だな、と感心しました。

「ありがとっ!」
つい、場ちがいな大きな声になってしまった。
彼女は少し戸惑った表情ながらも、軽く会釈を返してくれた。

(是非、ポレポレ農園にスカウトしたい by 農園主 )

2012/03/19(Mon) 調和

愛犬は家族と同じ、とよく聞く。

犬は嫌いではない方だ。
実家では犬を飼っていた。雑種で決して賢くはなかったが、
そこは身内、かわいかった。
夏場には散歩に走らせると、途中の公園でフェンスに寄りかかり、
今日は暑いからもういい、という顔で見上げる犬だった。

一般的に、レストランで食べ物と犬がいっしょになる場合には、
抵抗のある人も少なくないと思う。

ワンちゃんがイチゴ狩りに横浜から10匹やって来た。
飼い主のご主人達が連れられてきたという感じで、
主役は明らかに小型犬の犬たち、まさにペット同伴レストランで
知り合った方々の集まりだった。
当人達は、犬を外で待たせるつもりだったが、そこは犬好きの師匠。
他のお客さんに気を使い、このワンちゃん団体のために別ハウスを開放した。
犬もイチゴが好きだと言うこの飼い主達は、たいそう喜んで帰っていった。

嫁の友人に、アイ・メイト(盲導犬のこと)と暮らす女性がいる。
毎日の入浴の後、2時間のブラッシングをしていると言う。
人よりもずっと清潔なのだ。
アイ・メイトのことを体の一部だと思っているのでごく自然なこと。
レストランは条例により原則、盲導犬の入店拒否をしてはならないのだが、
それ以上に飼い主の方は気を使って、毛一本落ちないように手入れをしている。

ポレポレ農園は、人も動物も歓迎したい。
調和はどこかにあると思う。

( かつての飼い犬にイチゴを食べさせたことはない by 農園主 )

2012/03/20(Tue) 組合せ

来シーズンのイチゴの準備の話。

今、収穫している株で来年の収穫も可能なのですが、
今シーズンに体力限界まで皆、頑張りますので、
どうしても老化する。
味、収量ともに今シーズンのようにはいかないのです。
そこで、
新規に親苗から子苗を増殖させ、半年かけて株に成長させていきます。

親苗は3つのルートから集めます。
メリクロン苗
茎の成長点の細胞から培養した苗。バイオ技術です。
病気になる菌の保有率はゼロ。ただし、変異の可能性はある。

セカンド苗
メリクロン苗を親にもち、変異のないことを確認した苗。
菌の保有率も低いが、たいそう高コスト。

自家苗
メリクロンやセカンド苗のうち、優良な株になったものから子苗を選抜したもの。
挿し苗により自家製で生育させる。菌の保有率は検査するものの、高まる。

この3種の苗を組み合わせていきます。
保菌の可能性、変異の可能性、コストの問題、増殖能力を
最もバランスよく組み合わせていく。

効率的な「ポートフォリオ(分散投資の組合せ)の構築」は、
イチゴ農家では当たり前のこと。

( 農家だってリスク分散 by 農園主 )

2012/03/21(Wed) 恩送り

「井上ひさしと141人の仲間たちの作文教室」に出てくる話。

彼が中学生のときに国語辞典を万引きして、
店のおばあさんにこっぴどく叱られる。
薪割りをさせられたが、
「働けばこうして買えるのよ」と国語辞典と小遣いまでくれた。
「まっとうに生きることの意味を教えてくれた」
「返しても、返しきれない恩義」があると振り返っている。

そして、井上ひさしは大成後、その地元で何度もボランティアの文章講座を開く。
「恩送り」のためだそうだ。
「誰かから受けた恩を直接返すのではなく、別の人に送る。
その人がまた別の人に渡す。恩がぐるぐると世の中を回る。」

作文の勉強をしようと思って、本を手にしたら、
いい言葉に出会いました。

( 国語辞典を万引きしたことはない by 農園主 ) 

2012/03/22(Thu) 紅白

カラーという花がある。
純白のラッパ状の花で、70センチくらいと背が高い。
結婚式やホテルのロビーで重宝されている気品のある花である。
花瓶での持ちがよく、相当長く楽しめる。

君津では良質な水を生かし、全国で有数の産地となっている。
ウェディングマーチ という品種。

カラー作りをしている友人に、雑用を手伝いながら話を聞いた。
出荷の最盛期に入っているこの時期、
夜12時前には寝れないくらい忙しいと言う。
茎の長さによって5種類に分けた上で、5本ずつ結束して市場出荷する。
長い方が値が高く、1メートル超は最高級。

花の状態の規格も厳しい。
花が開きすぎているようではNG、
花びらの形が少しでもくずれているとNG、
花びらにしわが多いとNG。

素人目にはどれも見分けがつかない、
はねだしが無造作に選別されているのには驚いた。

カラーの出荷時期は12月から5月まで、
イチゴとぴったりシーズンが重なる。
ポレポレ農園で、イチゴと
はねだしカラーのコラボはできないものか。
コントラストがいいと思う。

(カステラのはねだしも皆が喜ぶ by 農園主 )

2012/03/23(Fri) 奥播磨(芳醇超辛)

君津に来てから、大変、お世話になっている方が定年を迎える。

「不良サラリーマン」と自分で認める人だ。
夜遊びをして徹夜明けの出勤は、若いころだけではないらしい。
武勇伝の紹介は、、、まだ定年前なのでやめておく。

「仕事は正攻法でやったことないな。その代わりね、裏道や抜け道は詳しいよ。」
直球勝負で農園準備を進める私に、変化球の投げ方を教えてくれた。
この人の助けがあってこその、ポレポレ農園。
「定年後は時間あるから、ポレポレ農園で雇ってくれない?
夜中の店番するよ。一升瓶だけ置いておいて」
真面目な顔で言っている。

これまでの感謝を込め、何か贈らせていただきたい、と思い
一応、周辺の人にヒアリングした。
予想通り、酒も甘いものも、何でも好きらしい。

知人から教わった美味しい日本酒がある。
兵庫県から取り寄せて贈ろう。

( 恩送りはこれから by 農園主 )

2012/03/24(Sat) 風致

ポレポレ農園にも看板が要る。
早速、下調べに、君津市役所へ向かった。
ここは、親切なところなのでいつも頼りにしている。
昨日は、建築指導課におじゃました。

看板は、正式には屋外広告物と呼ぶらしい。
建築基準法と条例によって、サイズから色まできちんと規制されている。
サイズ規制は、看板の大きさだけでなく、隣の看板との距離も
最低5メートルは離すことになっている。
高速のインター出口に、竹の子のように乱立する看板群をよく目にするが、
本当は、いけないのだそうだ。

色も地色に黒色や原色を使用してはいけない。
「マクドナルドは赤の地色に黄色のMだけど?」
商標登録されていればOKなのだ。
そういう目で見ると看板も結構、おもしろい。

看板を立てる前に、色とか絵とか字とかを図面に書いて申請し、
県の許可を取ってから立てることになる。
規制の目的は、「風致を維持するため」
フウチ?
広辞苑には、「自然界のおもむき。あじわい。」とある。
福沢諭吉は、「学問ノススメ」で
「詩歌の法に従って、その体裁を備えれば、限りなき風致が生じ」と書いている。

ポレポレ農園の看板に風致を表してみようではないか。

(周りは田んぼだけ、隣の心配は要らない by 農園主 )