[ポレポレ農園主のトレンドライン]

2012年 7月29日〜8月4日

2012/07/29(Sun) 月は東に 日は西に

農家の場合、暑さを避け早朝から仕事をするのが基本。
もっとも、会社勤めでも早朝出勤は珍しくない。
会社に人が少ない時間帯は、つまらない電話や上司からの呼び出しもないため、
自分の仕事に集中できる。
だから、会社人のころは、毎朝6時には会社に入っていた。
さらに、昼休みは時間の制約があるのをいいことに会議を入れていたから、
夕方以降の集中力は続かない。。。
電池切れで、早く帰りたくなったものである。

農家の夏は、「早朝から午前中までが仕事時間」と決めているのだが、
最近は、ハウス工事の打ち合わせが日中に度々あるため、
苗の世話を終えると日暮れ時となることが増えた。
「朝から遅くまで大変ねぇ」 周りから声をかけられる。

[写真]ポレポレ農園の夕暮れ(東の空)
〔ポレポレ農園 東の空〕

しかし、最近知ったことがある。
午後4時から日暮れまでの時間は、土の冷却効果と南風が涼しく吹き、
畑にいると最高に気持ちがいいのである。
ゴールデンタイムだったのだ。

[写真]ポレポレ農園の夕暮れ(西の空)
〔ポレポレ農園 西の空〕

( 午後4時からも仕事がしたくなる by 農園主 )

2012/07/30(Mon) 独立へ

子苗同士をつなぐランナーをはさみ(切り離し)始めた。
それぞれが自分のポットに根を下ろし、自分だけの根と葉で生きていく。

[写真]子苗が独り立ちしたところ

「1日1000苗は、はさめるでしょ」
師匠は言うが、半分程度のペースが精一杯である。
ランナーをはさみながら、苗をじっくり観察。病害虫の確認をしながら健康チェックをする。
さらに下葉を掻く。葉数は今の時期、2.5枚から3枚にする。
これは発根を促すため。(小数点は、新葉は1.0以下のカウントになるから)

苗の中には、兄弟とのつながりが切れ、ショックでしおれるものもある。
どの世界でも、独立には試練がある。

(若いからさすがにメタボは、いない  by 農園主 )

2012/07/31(Tue) ケータイ

先週末にケータイを買い換えた。
スマホではなく、ケータイからケータイに。
職業柄、防水と防塵に強い機種に変えた。
このご時世になぜスマホではないのか、、、
必要な機能はあるから良しとする。

それよりも、「ケータイ社会論」(岡田朋之+松田美佐編)にガッテンすることが書いてあった。
なぜ、電車内で他人のケータイの通話が、不快に感じるのか?その理由だ。

客同士の会話は気にならないのに、なぜなのか常々疑問であった。
「都市空間には一定の秩序がある。電車内での会話についても暗黙の了解がある。
乗客は自分たちの会話が周りに聞こえていることを前提に話さなければならない。
また、周囲の人々は聞こえていても聞いていないふりをしている。」

これを「儀礼的無関心」というのだそうだ。
乗客みんなが、この規範を社内で共有している。
だから、呼び出し音が勝手に鳴ったケータイに向かって話し始めると、
規範を無視したように感じるというのだ。
なるほどである。

( マナーモードは最近使わなくなった by 農園主 )

2012/08/01(Wed) 迷子

ハウスで子苗をはさんでいると、
ハウス内の天井のビニールにパタパタと何か当たる音がする。
大人の手のひらサイズもある黒蝶が、ヒラヒラというより、
バサバサと舞っている。
モンキアゲハである。クロアゲハより白の模様が大きい。
美しい蝶である。
外にうまく戻れないようなので、保護。

[写真]ハウスに迷い込んだモンキアゲハ蝶

アゲハはミカン科を寄生植物とし、そこに卵を産む。
幼虫はこれしか食べられないので、親は間違えるわけにはいかない。
前足の先に、葉の味を感じる舌の役割を持った感覚毛があり、
これで識別しているという。
ということは、この蝶は迷子ということになる。
イチゴはバラ科であるからだ。

( キャッチ・アンド・リリース by 農園主 )

2012/08/02(Thu) うぬぼれ

「いい苗ができてるね。」
師匠とトモ子さんが、子苗の様子を見て褒めてくれた。
親苗の世話では、アブラムシから始まり、ハダニにうどんこ病、
そして水と肥料加減に苦労してきたから、その甲斐があったと喜ぶ。
そのまま調子に乗って仕事を続けたら、あっという間に夕暮れ。

[写真]夕暮れの大豆畑

隣の大豆畑を見ると、播種したばかりの豆から元気に芽が育っている。
そうか、全ては自然が世話している、その恩恵だったのか。

宇宙飛行士の野口さんが、地球に帰還したとき、
「草と大地の匂いが印象的だった。」
そう話していたそうだ。

(「調子にのリ過ぎることがある」小学生の通知表に書かれた by 農園主 )

2012/08/03(Fri) 葉かき

子苗をはさみ続けている。(ランナーを切り離している)
育苗ハウス1号の苗数は6000苗。
折り返し地点を過ぎたところ、もう一息である。

ランナーをはさむと同時に葉掻き(はかき)をする。
枚数は2.5枚から3枚にすると言ったら、わかりにくいと。

葉かき前
[写真]子苗の葉掻き前

葉かき後
[写真]子苗の葉掻き後

真ん中の新芽を0.5枚に数えるというわけである。
葉の光合成能力は、新葉が展開後40日〜50日でピークに達する。
葉数で言えば、6枚〜7枚目になる頃で、結実過程では必要な枚数になる。
今は、そこまで要らない。根をしっかり張らせることが目的だからだ。
葉掻きはそれを促すための作業なのである。

( 少しづつ手も早くなってきたつもり by 農園主 )

2012/08/04(Sat) ベッドとキッチン

高設栽培用のベッド(ベンチとも呼ぶ)の工事が始まった。
出来上がったベッドには、培土を入れ、9月下旬に定植することになる。
結実した後、イチゴ狩りを楽しんでもらうところだ。

「高さは、ベッドの前に立って、曲げた腕の角度が直角よりも広い方が
作業負担がかからないよ」
師匠のアドバイスから、90cmとする。

ちなみに、「身長÷2+2.5cm」
キッチンを選ぶ際に、高さの目安となる計算式なのだそうだ。
低すぎると、前傾姿勢になるため、腰が痛くなる。
高すぎると、肩や腕をあげるため、肩が凝る。
数字は、師匠のアドバイスとほぼ一致するから、流石だ。

[写真]高設ベッドの工事が始まったところ

ただ、ハウス内の地面を測量したところ、約20cmの高低差があったので、
90cmをレンジの中心に水平を保つと、80cm〜100cmのベッドとなる。
80cmは、今の家の台所の高さ、洗い物をしているととても疲れる。
足を開いて時々、洗い物をしているくらい。。。
「作業のし易さが最優先」師匠の奥さんの言葉である。

結果、85〜105cmの高さに決定。

( 台所仕事をするようになっていて良かった by 農園主 )