[ポレポレ農園主のトレンドライン]

2012年 9月23日〜9月29日

2012/09/23(Sun) ヘッドライト

車のライトではない。文字通り、頭につけるライトを買って来た。
明後日から定植をスタートさせる予定だが、ハウスが広くて、
予想以上にセットアップに時間がかかっている。

このライト、LED使用で照射距離が77メートルとある。
確かに、ハウスの端(57メートル)が照らせたから、驚きだ。
文明は農家の深夜残業を可能にする。

( 感謝すべきか迷うところ by 農園主 )

2012/09/24(Mon) いざ、定植へ

何とか明日からの準備が整い、
休憩ハウス内で、ほっと一息。
すがすがしい。

休憩ハウスから見る景色

しかし、さっきまで悪戦苦闘していた隣の本舗ハウスでは、
こぼれた土や肥料や、それらの袋が散乱し、
その散らかり様は、見せられたものではない。

( どちらも現実である by 農園主 )

2012/09/25(Tue) 花芽分化(はなめぶんか)

イチゴの茎の先端にある成長点(茎頂という)では、
新葉が作り出されている。
それがある条件がそろうと、葉を作らなくなり、小さな花芽ができる。
「花芽分化」だ。
花芽は発達して花となり、やがて結実する。

分化の条件は、気温と日長時間(昼の長さ)にある。
イチゴの場合は、25℃以下の低温と13時間以内の短日によって誘因されていくが、
品種によって、タイミングは少しづつ異なるのが面白い。
感応度がそれぞれ違うということだ。

「紅ほっぺ」と「あきひめ」の2品種で花芽分化が確認され、
初定植にGOサインが出たのである。

定植を始めた様子
( 今日は記念日なのだ by 農園主 )

2012/09/26(Wed) 不思議な符合

曼珠沙華(まんじゅしゃげ)、仏教用語で天上に咲く花とのこと。
彼岸花の別称である。
この花、意外にもイチゴと共通点がある。
「彼岸花の咲くころをイチゴの分化時期の目処と考えていい」
師匠は言う。
例年は23日ごろだが、今年は両者とも数日遅れている。

天上の花が咲き乱れる中で、イチゴ農家は分化の確認を受けて、
定植作業にてんてこ舞いになっている。

[写真]曼珠沙華が咲いているところ

( 見るものの心を柔軟にする花だそうだ by 農園主 )

2012/09/27(Thu) 自我の覚醒

高校時代、国語の授業で記憶に残っている言葉である。
「舞姫」(森鴎外)の小説のあらすじは、今となっては曖昧だが、
「本来の自分に気付く」という小説のテーマに、強く興味を持った。
最近になって、ようやくその意味を実感している。

わが国の周辺で、俄かに領土問題が緊迫しているようだ。
同胞の冷静な対応には誇りを持つが、
我々は、本来は人一倍愛国心が強く、同胞を大切に思う国民である。
それをそっと秘めてきたところがある。
それが、周辺国の不遜な振る舞いで覚醒した気がしている。

( ペイトリオッツ by 農園主 )

2012/09/28(Fri) 脱・自分本位

イチゴたちは、気付いているような気がして「ハッ」とする。
「何か、この数日愛情が薄くない?」と言われているような。。。

本舗ハウスに苗を植え替える定植作業の真っ最中だ。
いつも通り(のつもりで)朝の水やりをし、順番に植え替えていく。
植え替えの時、イチゴは根元の湿気を嫌うので、深植えは禁物。
ならば、どこまで浅くするのがいいのか。
イチゴにとって、心地のいい植え方、環境を考えている(つもり)だが、
本数が多いせいか、つい気が急いてしまう。
だから、冒頭の声が聞こえるのかも。

( 愛情を込めて by 農園主 )

2012/09/29(Sat) 苦土(くど)

マグネシウム(Mg)のことを言う。
本当に苦いのかどうかは、まだ知らない。
マグネシウムが欠乏すると、イチゴの収量に影響するため、
イチゴ農家は苦土欠(くどけつ)といって、大変気にするのである。

そもそも、植物の生育に必要な栄養は多種あるが、
そのうちのチッソ(N)の役割は、特に大きい。
アミノ酸やタンパク質になって、果実にも移行していく。
このチッソの吸収の媒介になるのが、苦土なのである。
その意味で、チッソと並ぶ重要な要素だと言う人もいる。

[写真]定植作業の様子

定植の土に少し混ぜる。隠し味として。

( ワインの味の深みは苦みからという by 農園主 )