[ポレポレ農園主のトレンドライン]

2012年10月14日〜10月20日

2012/10/14(Sun) 80分の1

帆船「カティサーク」の1/80模型が、君津に入港した。
鈴木秀一氏 作。 鉄道模型や駅のジオラマも制作する。
専門誌でも名が通る、その世界の有名人が自ら届けてくれたのだ。
開園後は、農園の受付ハウスに停泊する予定なので、
来園された方々も、楽しんでいただける。

[写真]英国帆船カティーサークの模型

この作品は、完成までに10年以上の歳月がかかっている。
甲板は5mmの板が、船底には細かい銅版が、
精緻に組み込まれている。
帆を揚げるロープは1本、1本が滑車を通っている。
丁寧な仕事の積み上げこそが、一級品を作り上げることがよくわかる。

「器用というより、根気かね」
匠の言葉である。
「カティサーク」 1/80が、イチゴの育て方を教えてくれている。

( 帆は揚がった by 農園主 )

2012/10/15(Mon) トスカ

15年前のこと、「これから、オペラを観にいく」
そう言って、タキシードに着替えて出かけていく上司を見て以来、
自分は、オペラには縁がないだろうと思っていた。

300年の歴史を誇るオーストリアのバーデン市立劇場のオペラ「トスカ」が、
君津の市民文化ホールで公演されると聞いたのが、数ヶ月前。
値段も安心の君津プライス。

定植後のリフレッシュになるかもとチケットを衝動買いしたのだ。
イチゴは、人生の志向まで変える。

[写真]ポレポレ農園から眺める夕焼け空

公演当日は、直前までドタバタしたが、かろうじて時間前にホールに滑り込んだ。
が、予習をしていない。CDは借りてあったが聴く暇もなかった。
開園前の30分を使って、「トスカ」って何?誰?から始まる。
(歌姫トスカの恋の物語である)

ネットでの付け焼刃の下調べをした効果もあったが、
字幕があるのであらすじは、イタリア語でも充分理解できる。
歌劇とオーケストラの演奏を非日常的な空間として堪能できた。

( 久しぶりのブレザー by 農園主 )

2012/10/16(Tue) 閾値(しきいち)

「こんなに洗うの大変でしょ」
毎朝犬の散歩で通りかかる方から、声をかけられる。
育苗の時に使った「マジカルポット」を1つ1つ(計6000個)手洗いし、
殺菌剤に浸して消毒する。

[写真]苗のポットを洗浄しているところ

ITや統計の分野では一般的な用語になっている「閾値」は、
そもそも生理学の言葉。
生体反応を示し始める刺激の境界値をいう。

植物は、様々な病原菌と闘っている。イチゴもそうだ。
しかし、無菌状態にすることは難しいので、発病を抑えることが最善の策になる。
やるべきことは、病原菌の数が閾値を超えないようにすること。
使い終わったポットの消毒は、来シーズンのために必要な作業なのである。

( 年1回だからできる by 農園主 )

2012/10/17(Wed) アランのこと(寝床の準備編)

米俵ではない。
2週間前に刈った草を袋詰めにしたのである。
今晩から天気が崩れる予報だったので、その前に干し草を集めた。

[写真]干し草を集めたところ

アランは、夜は小屋で寝る。(小屋の建築はまだ着手していないが)
そのときに干草を敷いてあげると、タコができないと聞いたので、
まずは、ベッドの準備を始めたのである。

 これまで、草刈には散々苦労してきたのだが、
その草を黄金のようにかき集めることになろうとは。。。
しかも、雑草はアランの大事な食料になる。

( 雑草万歳 by 農園主 )

2012/10/18(Thu) セイタカアワダチソウ

[写真]セイタカアワダチソウとススキ

この時期に咲く黄色い花、「セイタカアワダチソウ」という雑草だ。
生命力は際立ち、荒れ地で繁殖する。
根から他の植物を駆逐する物質を分泌し、一面に広がるそうだ。
ススキと生存競争を展開するが、圧倒的である。

全国の耕作放棄地を集めると、埼玉県の面積を超えているという。
この辺りでも、この花が咲き乱れている土地はそうだ。
幸い、農園のある上湯江(かみゆえ)地区には繁殖していない。
これは、農地を大事にする農民が多いからだ。

( その伝統を受け継ぎたい by 農園主 )

2012/10/19(Fri) 葉と根の関係

明け方、農園から雪をかぶった富士山が見えた。
これから寒くなるに連れて、どんどんきれいに見えるはずだ。

[写真]ポレポレ農園の後ろに見える富士山

農園では、葉かきが始まっている。
古くなった葉を掻くように取り除いていく作業である。
勿論12,000株全てだ。
定植してから2週間が経つので、2枚程度を葉かきしていくことになる。
1週間に1枚のペースで新葉は展開していくからだ。

根。
大抵の野菜の根は、種子根と呼ばれる一本の根がまず土中に降り、
それが太くなりながら、周りに側根が生えていくのが一般的。

イチゴは、根元(クラウン)の古葉の付け根から、
沢山の細い根が順次発達していく。不定根(ふていこん)と呼ばれる。
イチゴの根は深く伸張せず、比較的浅い分布(地中30cm以内に90%)であるのが、
この不定根の特徴である。

しかし、この根は短命であるため、新規の発根が大変重要になる。
そこで「葉かき」の出番だ。
葉を掻くと、その根元から不定根の発根が促される。
これを継続的な作業とすることで、
シーズンに向け、どんどんいい株になるはずである。

( 日記は続く方だ by 農園主 )

2012/10/20(Sat) ヨトウムシ

山賊のような虫である。
蛾(ヨトウガ)の幼虫で、稲以外は何でも徹底的に食べる。
春と秋、年2回発生する害虫だ。

[写真]ヨトウムシに食べられてしまったいちごの葉

若い幼虫時は、葉裏に群生して食害するが、
発育が進むと株の根元や土中の浅いところに潜んで、夜を待つ。
そして、夜になると、あらゆる葉を暴食するのである。
だから、夜盗虫という。

( 悪戦苦闘中 by 農園主 )