[ポレポレ農園主のトレンドライン]

2013年7月27日〜8月3日

2013/07/28(Sun) 子苗を鋏む(はさむ)

子苗を挟み始めた。
「おいCベリー」と「かなみひめ」からスタートしている。
ハサミで切り離すことをこの辺りでは「はさむ」と言う。
子苗の独り立ちの時期である。
親、兄弟からの栄養補給なく、それぞれが根をしっかり張って生きていく。

[写真]親苗から切り離されて独立した子苗(かなみひめ)の様子

独立させ、これから約60日間かけて充実した苗に仕上げていく。
手間暇をかける理由は、実のできる枝である果房に3分枝を多く作りたいため。
普通は2分枝までなのだが、日数をかけて育てることでそれが実現できる。
その結果、大果がたくさん採れるのである。
いちご狩りに来て「わーっ」と喜んでほしいから。

( 今がある by 農園主 )

2013/07/29(Mon) エコピン

土に還るエコな資材である。
子苗をポットに活着させるために使うランナーピン。
これは生分解樹脂でできているので、使用後は土壌の微生物が自然に、
炭酸ガスと水に分解するという。

[写真]土に還るエコなランナーピンでイチゴの子苗を留めた様子

驚いたのは、この商品を持ってきたのが高校の同級生だからだ。
当時の彼は吹奏楽部、こちらは泥にまみれたラグビー部だったので、
ほとんど接点はなかったが、1ヶ月前の同窓会で再会した。

化学メーカーに勤め、すっかり貫禄のついた彼は、農業資材も扱うと言う。
社交辞令だと思っていたが、君津の製鉄所への商談の前にわざわざ立ち寄ってくれた。
その心意気がうれしい。
もともとは理系で商品の研究員、異動で営業マンになった経緯を聞いていた。
「販売だけじゃ生き残れない、回収もやる。農業の世界でもできることあると思うよ。」
元気ハツラツに軽快なフットワークで、超一流企業から農家までを同時にアプローチする。
仕事と会社を愛するサラリーマン、恰好いいじゃないか。

( トロンボーンだったかな by 農園主 )

2013/07/30(Tue) 帳尻合わせ

サラリーマンであれば、いやでも仕事の目標が与えられる。
ディーラーなら月間および半期の目標収益があり、
常時、尻を叩かれまくる。だから、
「先月はやられた(損した)が、今月は何とか挽回しよう。」
そんなことを四六時中考えているものである。
この帳尻合わせ、生き物には通用しないから難しい。

「例えば、生き物を容器に入れてそこに常時一定量の酸素を送るとする。
そのときにわずか数時間でも送るのを忘れてしまうと、その分の酸素を
後で送っても、生物は死んでしまう。」 (「原田正純の道」佐高信著)
「忘れれば後で量を増やして、一日の平均供給量を満たせばいい。」
とする考え方を「平均値主義」といい、その誤りを説く。

「水遣り3年」と師匠に言われている。
日々の気象状況の変化に合わせて、環境を一定にしてやる。
たかが水遣り、されど、なのだ。

( 当たり前で単純なことが一番難しい by 農園主 )

2013/07/31(Wed) ランチの王様( 冷やし中華 in ともちゃんらーめん )

夏の定番メニュー、これまで方々で食して来た。
御茶ノ水にある「冷やし中華」発祥の店にも足を運んだ。

その中でも "ともちゃん" のは、格別。
タレは、オリジナルの胡麻みそ。
麺は、ワカメを練り込んだ自家製のモチモチ麺。
薄いみどり色の麺が食欲をそそる。
たっぷりのカラシをタレに溶かしながらいただく、
玉子、ハムとキュウリのハーモニーは、
毎回、期待を裏切らない。

[写真]君津・ともちゃんらーめん の

残念なのは、夏季限定なこと。
だから、いちご狩りのシーズンには注文できないのだが、
それでも、ご紹介したい一品なのだった。

( チャーシューも凄い by 農園主 )

2013/08/01(Thu) 折り返し地点

子苗を鋏み始めて、5日目になる。
ようやく半分くらいを終えたところだ。
師匠には1日1,000苗はできるはずと言われたが、
今の実力は、その7割ペースがいいところ。
ランナーを切り離し、同時に葉かき(剪定)をするので、
意外と時間がかかるのである。

[写真]兄弟苗から切り離されて独り立ちした子苗(やよいひめ)の様子

苗とじっくり対面すると、
毎朝の水遣りの時には気づかなかった表情がある。
複数のランナーがコンガラガッて、思った以上に苦しそうな子苗。
元気そうだが、土が乾いていたり。
茎も葉もか細くて見えても、根はしっかり張り始めていたり。
個性は様々である。
これから、全員を一人前に仕立てていく。
9月下旬の本舗への定植に向けて。

( それにしても、蒸し暑かった by 農園主 )

2013/08/02(Fri) 接触

作物は手をかけるほどいい物ができる、そう思いがちだ。
しかし「1日に3回、葉を少しなでるだけで、背丈は低くなり、
開花が遅れる」という。
( 「植物はそこまで知っている」ダニエル・チャモヴィッツ著 )

かわいがり過ぎてもいけないのだ。
植物は、自分が暮らす環境を感じ取る。
たとえば、「山の尾根の高いところに育つ樹木は強風にさらされることが多い。
そうした樹木は枝の成長を制限し、幹を太く短くするような育ち方をして、
環境ストレスに適応しようとする。」

 同じように、接触を植物は感じているそうだ。
「毎日さわられる、というのは植物にとって外界が異常に乱れていることを
意味する。そうした環境においては生長を抑えるという防御的な姿勢をとったほうが
生き延びるチャンスは高まる。」

[写真]独り立ちした子苗(紅ほっぺ)を真上から見た様子

師匠は、「9月に入ったら、イチゴの葉かきをしてはいけない」という。
9月下旬の花芽分化まではそっとしておいた方がいいとの教えだ。
「イチゴが構うなって言うからね」

( イチゴから直接聞いたらしい by 農園主 )

2013/08/03(Sat) アランのこと( トイレ編 )

草を食べるので大きい方は無臭、黒豆のような粒である。
いつでも逃げられる態勢でいるために、ためることはなく、
ポロポロと常時排出している。
これを一ヵ所でさせるのは無理だ。
一方で、オシッコはここ最近覚えたようである。
躾ければできるとは聞いていたが、自分の小屋の中では、
決まった場所でするようになった。
きっかけはわからないが、毎日小屋を掃除している嫁に
「トイレはここでね」とお願いされていたことが効いたか。

[写真]小屋の前で餌を食べていたアランが振り返ったところ

これまでは、小屋に迎えに行くと入口でしてしまっていたのだが、
ワラを敷いた場所に自ら戻ってすます。
そして、「お待たせ」と言わんばかりに
尻尾を振って寄ってくるのである。

( 品よく愛らしいのである by 農園主 )