[ポレポレ農園主のトレンドライン]

2013年9月8日〜9月14日

2013/09/08(Sun) やよいひめからのリクエスト

師匠がトモ子さんと苗を見に来てくれた。
「問題ないでしょ」
日頃、全てが試行錯誤なのでこの言葉を聞くとほっとする。

ただ、花芽分化の時期が遅い「やよいひめ」については、
今のペースでチッソ分(肥料)を軽減していくと、
切れすぎてしまう可能性もある。
「少し与えておいてもいいかも」とのアドバイス。

早速、チッソ分を葉面散布してみた。
葉先がピンとしてくるから流石である。

[写真]やよいひめの苗の様子

( イチゴと会話ができるから by 農園主 )

2013/09/09(Mon) ふかふか

土作りが始まっている。
これから苗を定植するための準備である。
やみ雲に作ることはしない。
土壌分析をした結果から、
土に不足している要素を補っていく。

少しだけ、科学的ではない新しい試みもある。
酵素を土壌に混ぜてみた。ほんの一部分ではあるが。
畑にいつも混ぜているという近所の方から分けてもらったものである。
この方の畑では、ふかふかな土に美味しい野菜ができている。
学術的に酵素の効果は不明確ではあるものの、
イチゴが美味しくなる可能性があるならば、
「やってみなはれ」だ。

[写真]本圃ハウスの高設ベッドの土に酵素を混ぜ込んだところ

( イチゴは気に入るだろうか by 農園主 )

2013/09/10(Tue) 分子が飛ぶ

ハウスを貸してほしいとの依頼を受けた。
当園が使用している暖房機と二酸化炭素発生機を兼用した機器の
データ収集のため、販売元から頼まれたものである。
海外に比べて国内のデータは、まだまだ少ない。
当園は1,000uの同じ広さのハウスが2面あるので、
施用した場合としない場合の比較がしやすい環境にある。

[写真]本圃ハウス内で暖房機を稼働させた後、二酸化炭素濃度を計測している様子

5時間かけて取得したデータの一部を見せてもらった。
暖房機を10分間稼働させて10〜15分後には二酸化炭素濃度が
大気中の400ppmから1,000ppmに上昇する。
ここまでは想定内だ。
興味深かったのは、高低差による濃度の違いである。
二酸化炭素の比重は、大気を1とすると1.5の重さがあるので、
ハウスの下に溜まるものと想像していた。
濃度は、地上に近い方が高いだろうと。
ところが、測定結果は高さ100cmの高設ベッドと地上での濃度は、
時間が経過してもほとんど同じであった。

 「そうなのぉ」
ベッドの上に二酸化炭素がこんもりと溜まったままの絵を想像するが、
これは多分勘違いなのだ。
ハウス内では、分子が縦横無尽に飛び回っている。
だから、地上からのわずかな高低差だけでは、
濃度に差異は生まれないということなのだろう。

( 見えたら面白い by 農園主 )

2013/09/11(Wed) 兆し

涼しい日が続いている。早朝の水遣りは肌寒いくらいだ。
平均気温は25℃を5日間連続で下回っている。
8月下旬の3日間も含めると合計8日間となった。
この25℃がイチゴの花芽分化の大きな境目になるので、
温度計が毎日気になる。
「紅ほっぺ」の葉の表情も少し引き締まってきたように見える。

[写真]紅ほっぺの苗を上から見た様子

花芽分化の条件のひとつは、平均気温25℃以下の日が積算されること。
品種毎に異なるが、「紅ほっぺ」の場合は10日前後が目安である。
そろそろ秒読みに入ってきた。
このペースならば、昨シーズンよりも1週間以上早い分化となるが、
天気予報では、明日から再び暑さがぶり返すらしい。

( 一進一退 by 農園主 )

2013/09/12(Thu) 彼岸花(ひがんばな)

[写真]農園近くの田んぼの畦道に咲く彼岸花

昨年よりも10日余りも早く、彼岸花が咲き始めた。
通称、曼珠沙華(まんじゅしゃげ)だ。
ニュースではコスモスも2週間も早い開花が見られているという。
これでもかと続いた真夏の猛暑から開放された植物たちは、
9月の気温の低下(昨日までだが)に敏感になったのかも知れない。

彼岸花の開花は、イチゴの花芽分化の目安になると師匠から聞いている。
だから、昨年と同じ田んぼの畦道で、この時期に赤い花を見つけて驚いた。
今年のイチゴの分化が早まりそうな根拠のひとつである。

( 花の呼び名は1,000以上あるという by 農園主 )

2013/09/13(Fri) 検鏡にトライ

イチゴは、環境が良ければどんどん生長していく。
しかし、生存が危惧されるようなストレスが起きれば、
自分の生長よりも子孫を残しておこうと方針を転換する。
これが、栄養生長から生殖生長への転換であり、
葉をつくることから花を咲かせようと変化する。
「花芽分化」である。
日が短くなったり、気温が下がったり、チッソ分(肥料)が減ったり、
こういう変化がストレスになるのである。

外見からは見分けられない。
生長点の細胞分裂の形が独特になるが、これは高性能の顕微鏡で
見極める技が要る。尖った葉の細胞より、ぷくっと丸い形状になる。
君津農業事務所(普及センター)の方々に手本を見せてもらった。
顕微鏡を見ながら初期の葉を針で3枚ほど丁寧に剥いていくと、
生長点にいきつく。
ここまで来るのも至難なのだが、その形状から分化を判断する眼は、
職人芸の域である。

[写真]農園主が顕微鏡で花芽分化の検鏡をしているところ

( 案の定、生長点を切り取ってしまった by 農園主 )

2013/09/14(Sat) これ、いいね( オクラのベーコン巻き )

オクラのあのねばねばとした食感は、
納豆ご飯に混ぜると一層引き立つ。茹でてマヨネーズでいただくのも旨い。

好物と言ったら、大家さんが畑で採れたてのオクラを連日のように分けてくれた。
旬がそろそろ終わりなのが、誠に残念である。
お薦めは、アスパラのベーコン巻きの要領でベーコンに巻いて炒めるのが
美味しいと教わった。
相性はアスパラに負けない。

[写真]オクラのベーコン巻き

( 花は、夜に咲くのだそうだ by 農園主 )