[ポレポレ農園主のトレンドライン]

2014年11月16日〜11月22日

2014/11/16(Sun) トラとの再会

そろそろ昼時かと思って、ハウスの外へ出たら、
「カメ、カラスにやられたっぺ?」
近所の方から声をかけられた。
いつも決まった時間に犬の散歩で農園の前を通る人だ。
「ついこの前、カラスが落としたカメを桶に戻したよ」
―そうだったんですか。ありがとうございます。でも、結局、、、

30分後、散歩の帰り道にその方がカメを片手にやって来る。
「そこのU字溝にいたよ。 この犬が見つけた」
―えーっ、 ホントだ、トラだ。
肩が凝りそうなくらいに身を縮こまらせているではないか。
甲羅が見事に兜になったというわけだ。

冬眠を始めようとしていたクロちゃんと同じ桶に入れると、
ようやく手足をのばす。
我々以上に嬉しいのはご両人たちだろう。

[写真]無地生還したカメのトラ(左上)とクロちゃん(下)が桶の中で泳いでいるところ

( アカちゃんも甲羅に守られて、きっとどこかで by 農園主 ) 

2014/11/17(Mon) オイル南下、それでも

朝日が美しく見える。 寒さで空気が澄んでいるのだろう。
そろそろハウス内も暖房の季節である。

[写真]農園前から眺める日の出

原油価格が下がり続けている。 先物は4年2ヵ月ぶりの水準という。
シェールオイルガスの生産が増えているのだから、予想された事態とも言える。
中国の景気減速やら、米国の金融政策が引き締めに転じたことなど、
様々な要因もあるのだろうが、イチゴ農家の関心はひとつ。
経費がセーブできるのか、否か?
イチゴの栽培には、ハウス内の気温を8℃以上に保ちたいので、
12月〜2月には、文字通り油を湯水のように使う。
高騰を続けた昨シーズンは、先物で何とかヘッジできないものか悩んだものだ。

今朝、灯油の販売元の営業マンがやって来て、
「今シーズンもよろしくお願いしまーす。えっ、値段ですか?
 原油は下がってますが、円安で。。。」
値段は下がっていないというのだ。
おいおい、為替のヘッジオペレーションは何していたんだ、と詰問したいところだが、
彼に聞いてもせん無いことだ。

( 銀行の為替担当者、出てこーいっ by 農園主 )

2014/11/18(Tue) もうひと踏ん張り

これを始めると、いよいよシーズンが間近であることを実感する。
“葉よせ” である。
この作業でイチゴの花がきれいに並び、赤い実もそうなることが想像できるからだ。

[写真]葉よせ作業が終わった紅ほっぺの様子

イチゴの丈から少し低いところにエクセル線を張り、垂れる葉をかきあげる。
そうすると、花が突如と並ぶように見え、根元のクラウンには陽が当たり、
風が通る。健全な株を育てるためには大事なひと手間なのである。

( 師匠の手は早かったな by 農園主 )

2014/11/19(Wed) “男”からの学び

2年前に書いたことをまた書きたい。 
健さんの話である。

NHK番組「プロフェッショナル」に出演していた当時81歳のこと。
存在感は、格別だった。
だが、お決まりの「プロフェッショナルとは?」との問いには、
「生業(なりわい)ですかね。」といかにも普通だったのが可笑しかった。

この取材では紹介されていなかったのだが、有名な撮影秘話がある。
「幸福の黄色いハンカチ」でのことである。
出所してすぐ、街の食堂でラーメンとカツ丼を食べるシーンがある。
その時のおいしそうな表情に、山田洋次監督が感心して尋ねたら、
「2日前から、何も食べていません」と答えたそうだ。

プロは最高のパフォーマンスのために最高の準備をする。
そのために全身全霊、「手を抜かない」ということなのだ。

( 不器用でも努力すれば、ですよね by 農園主 ) 

2014/11/20(Thu) 45度

古い葉を取り、垂れさがった葉をかきあげる“葉よせ”の作業を終えた。
クラウン(根元)の周辺に空間をつくるように意識すると、
手品のように花が一気に登場したように見える。
作業した後を振り返るのが楽しい瞬間だ。
花の向く角度は45度、これが健康な証しなのである。

[写真]葉よせ作業後、白い花をつけた果房が並んでいる様子

( 師匠に教わった通り by 農園主 )

2014/11/21(Fri) 開墾プロジェクト( つかまり立ち ) 

サヤエンドウが発芽し、丈が10pを超えてきた。
「何かにつかまらせてくれって、あんまりうるさいもんだから」
そう言って、支柱となる竹を三郎さんが立てて廻る。
50pくらいの竹はつるを誘引するためである。

[写真]三郎畑のサヤエンドウに竹の支柱をたてかけたところ

「すぐフーラフラ、するからね」
春には2mくらいのものを使うそうだ。

( そのころには、たわわのサヤエンドウ by 農園主 )

2014/11/22(Sat) ミツバチたち( 30℃ライン )

花から花へと、いい仕事をしている。
気温には敏感で、育児の適温である34℃程度になるように
みんなで巣箱の温度を制御しているそうだ。
寒ければハチ球を作って温め、暑さには扇風で涼しくする。

この時期でも、晴れていればハウス内の気温は上昇し、
さらにハチたちの呼吸にともなう発熱で、巣箱は適温を超えてしまう。
そこで、ハウス内の気温は30℃を超えないように管理するのだが、
同時に、花粉の量は30℃近くまで上昇した方が盛んになる面もある。

[写真]ミツバチが時計回りに移動したところ

[写真]ミツバチがイチゴの花の花粉を集めているところ

( 自然界の微妙な接点である by 農園主 )