[ポレポレ農園主のトレンドライン]

2015年6月28日〜7月4日

2015/06/28(Sun) 農を考える( 資金の貸借について )

ギリシャの債務危機がまた正念場という。
かれこれ5年は同じことを聞いている。
この問題の論点は、「借りた金は返しなさい」という貸し手の当たり前の主張と
「返せないのに貸した方がいけない」という借り手の強引な開き直りにある。
どちらが、正しいかは論を待たないような気もするのだが。

農家も設備にはお金がかかる。
イチゴ農家であればハウスや暖房機、野菜の露地栽培であっても耕運機や播種の機械だ。
そこで、それぞれの収支計画から借入れを農家は判断していく。
同時に銀行も返済能力を判断する。普通の金融取引である。
ただ、そこに無利息の制度資金と呼ばれるものがあり、ここに落とし穴がある。
税金による農業支援金のため、“実績づくり”という経済合理性からは離れた
役所の事情が生じてしまうからだ。

( 全ては農家自身の自己責任 by 農園主 ) 

2015/06/29(Mon) さぁ、あおぞらへ

90年代後半、相次いで破たん銀行に公的資金が投入された。
税金による救済劇に、「どうせ返ってこないのに、なぜ?」と
冷ややかな声が上がったことをよく覚えている。

国民から借りた3,200億円を予定より早く無事完済した銀行がある。
「これで新たなスタートに立つことになるが公的資金に助けてもらったという事実を
忘れず、今後は専門性を高めたサービスを提供していきたい」と社長の弁である。
新しい門出に相応しい抱負かどうかは、微妙だが、
自由な裁量を獲て、大きく羽ばたいていくに違いない。

[写真]農園前に広がる青空と三舟山と田んぼの風景

( “世の中のため” その一念で by 農園主 )

2015/06/30(Tue) 明日が雨なら

天気予報はいつも気になる。
ハウス栽培のイチゴ農家でも天気によって仕事の段取りを変えるのだから、
露地栽培の農家はもっと神経を使っている。
雨なら、土がぬかって仕事にならないからだ。

[写真]受付ハウス前に置かれたアランの餌(雑草)が山盛りの黄色いカゴ

「カゴに入れておいたよ。いい草があったから」
田んぼ周りの草刈りを終えた、のぶ子さんが言う。
忙しいのに、アランのことまで仕事の段取りに入れてくれている。

だからこそ、
「雨の日は好きだな〜、雨音を聴きながら朝ゆっくり寝るのが好きだぁ〜」
笑いながらそう言う農家のお母さん達はいっぱいいるのである。

( 皆、働き者だからこそ by 農園主 )

2015/07/01(Wed) ランチの王様( 日替わりランチ in アラマンダ )

500円ワンコイン(税別)のランチ。
最初は安いので期待せず訪れたのだが、今やすっかりハマり、
君津駅近くのハミルトンホテル内のラウンジへ農作業着で颯爽と?通っている。
スープ、サラダ、メイン。どれも低予算の中でも店長の工夫があり、
「う〜ん、いいね」と唸ってしまう。

[写真]君津・ハミルトンホテル(ラウンジ

この日は「とろとろ卵のオムライス」。
中身がチキンライスという訳にはいかないが、
卵のぷるぷるの仕上げといい、トマトベースのソースといい、期待を上回る。
メニューはひとつだが毎日変わる。
月間の営業日とメニューが決まっており、その献立表を眺めていると
気分はまるで、給食か社員食堂のように妄想は広がり、テンションも上がるのである。

( 今月の献立表が楽しみだ by 農園主 )

2015/07/02(Thu) 不変なもの

経営指南書を開くと、“時代の変化”への対応が重要と大抵書かれている。
「10年でどのビジネスモデルも陳腐化する。変化の波を感じなくていけない」と。
そんな難しいことができる気はとてもしないと思っているが、
あの“永ちゃん”こと、矢沢永吉の武道館100回公演前のインタビュー映像に魅かれた。 
「音楽は、かつてはレコード。 いまやCDじゃなくて、ダウンロードの時代でしょ。
テクノロジーだよね〜。 でもね、“絶対に変わらないもの”があると思うよ。
それはね、“生のライブ”。」
通算2,000回のライブ回数を超えるスーパースターの言葉に、何か教えられる。

農園でも時々、ライブCDを聴くことがあるのだが、
アンコールを終えた最後に永ちゃんは必ずこう叫ぶ。
「サイコーのビール飲んで帰ってくださーいっ」と。
そうすると間髪いれずに「メェ〜」と大きく応える男がいる。
アランである。

( 皆を共鳴させる“ソウル”なのだ by 農園主 ) 

2015/07/03(Fri) シトシト

[写真]育苗ハウス2号の様子

子苗は順調に増殖している。
最近の長雨の鬱陶しさは、どうにもならないが、
緑色の育苗ハウスの景色に気持ちは晴れる。

ただ、暑すぎない気温はランナーの伸長には好条件であるが、
過湿は禁物であるので、水やりの加減にはとても気を使う。
やはり、お天道様の恵みがあって、葉は輝くものである。

そして、長雨の悩みはアランの餌でもある。
小屋から出して好きに食べさせることができないからだ。
最近は、大人になったのか、ジッと小屋に座っている時間が長くなったのだが、
そこがまたいじらしい。

( 晴れ間よ来い by 農園主 )

2015/07/04(Sat) 飛躍のために

降ったり止んだりの雨の様子を見ながら、育苗ハウスの換気を開け閉めしている。
ふと周りの田んぼの苗をよく見てみたら、“中干し”の間にすっかり逞しくなっている。

[写真]農園前の田んぼで稲が育っている様子

この時期から、稲の生育の方向が少しずつ転換していくそうだ。
穂を出し、実りを進めていくための準備段階に入るのである。
そこで欠かせないのが、田んぼから水を抜く作業。
田植えの後、田は常に水が湛えられた状態になっているため、
放っておくと稲にとって有害なガスや酸が発生し根の発育に悪影響を及ぼすという。
“中干し”によって、土中酸素が補給されると共に、有害ガスも放出されるため
稲の根の発育は旺盛になる。
更には、肥料の過剰摂取を抑えることで株(茎数)の分げつを抑える。
これでモミ数を制限し、モミの実入りを充実させることになるのだそうだ。
何でも過剰ではいけない。
多少ストレスがあるくらいが調度いいのかも知れない。

( 秋の黄金色の穂に向けて by 農園主 )