[ポレポレ農園主のトレンドライン]

2015年8月9日〜8月15日

2015/08/09(Sun) 能を“舞う”

[写真]宝生能楽堂での舞囃子“雲雀山”

「初心忘るべからず」
よく知られたこの言葉は能の大成者、世阿弥(ぜあみ)のもの。
今は「初めの志を忘れてはならない」と言う意味で使われているが、
鎌倉時代に世阿弥が意図したところは、少し違うそうだ。
「初心」とは、新しい事態に直面した時の対処方法、
すなわち、試練を乗り越えていく時の考え方を意味するという。
「初心を忘れるな」とは、人生の試練の時にどうやってその試練を乗り越えていったのか、
その経験を忘れるな、ということなのだそうだ。

さらに世阿弥は続ける。
「老後の初心忘るべからず」
老齢期には老齢期にあった芸風を身につけることが「老後の初心」である、と。
老後になっても、初めて遭遇し、対応しなければならない試練があり、
歳をとったからといって、「もういい」ということはなく、
いつでも、初めて習うことを乗り越えなければならないと説くのである。

( 人生、稽古の上に稽古なのだ by 農園主 )

2015/08/10(Mon) アメ〜

「今日は、降りそうだね〜」。
朝一番、のぶ子さんは満面の笑みである。

朝方、君津でもようやく雨が降った。
日記を振り返ってみると、「晴れ」の文字のオンパレードの中、
「雨」は18日振りであった。
露地栽培の農家が熱望するのも無理はないのである。

( 水気を含んで土の色も少し変わったようだ by 農園主 )

2015/08/11(Tue) 一歩先を見て

摘葉を始めた。
古い葉をクラウンに沿って剥くように取っていくため、
“葉かき”と呼ばれる作業である。今は2〜2.5枚で管理していく。
葉かきをするとそこから発根が刺激され、
クラウンが大きくしっかりとした苗に成長するので、
将来の果実は大果で豊富な収量が期待できる。
それは昨シーズンに実感したことだ。

[写真]1回目の葉かきを終えたやよいひめの子苗の様子

葉かき後の“やよいひめ”のコンディションがすこぶる良い。
葉が大きく伸長している。
まだまだ果実の姿までは見えて来ないが、
1.5ヶ月先の定植時期のイメージは湧いてきた。

( ワクワクである by 農園主 )

2015/08/12(Wed) 農を考える( 流動性について )

相場ではポジションが「ロング」とか「ショート」という言い方をする。
「買い持ち」にしているのか「売り持ち」かという意味である。
相場の恐ろしいところは、この「ショート」ポジションだ。
自分が持っていないものを売ってしまうという行為である。
カラクリは簡単に言うと、他所の人から商品を借りてきて売る、のである。
従って、ショートする場合にはその商品はいつでも手に入るという“流動性”が求められることになる。
 逆に言うと、流動性のない商品は手持ちの在庫分までしか売ることはできない。
持分以上に売ってしまったら、買った相手に商品を受け渡すことができなくなるからだ。

当園は臆病な農園と自覚している。
なぜならば、先日付けのいちご狩りの予約や宅配の販売予約を受けていないから。
経営者として売上げ向上という点では間違いなく失格だ。
需要があれば、どんどん取り込むのがセオリーであろう。
 しかし、ひとつ自負していることは、在庫リスクを抱えていること。
その日に収穫した“いちご”に売れ残りが出た場合のことだ。
つまり、当園のポジションは、つねに「ロング」にしている。
理由は単純である。
先日付けの約束を必ず履行できる生産技術があればいいのだが、
イチゴの生育は、気候条件に寄るところが大きく見通しは容易ではない。
その上「ショート」を手仕舞う手段は、自分のいちご以外にないからである。

( リスクフリーはない by 農園主 )

2015/08/13(Thu) アスター その2

「お盆のころにね」
三郎さんの予言通り、 アスター が咲きそろった。
小ぶりながらも、色彩豊かなので想像以上の存在感だ。
調べたら花言葉は、色の多様性から「変化」だそうだ。

[写真]受付ハウス前の花壇に咲いた色とりどりのアスター

変える勇気、変えない勇気。 どっちも持ち合せていたいと思う。
ガラケーのことではない。 生き様の話である。
しかし、これがキツい。
なぜならば、どっちにしても自分の立ち位置が求められるからだ。

( ブレない軸があって、次がある by 農園主 )

2015/08/14(Fri) 夏色から

暑い昼過ぎ。バタバタと飛んできて、顔に何やら当たった。
蝉の宴もそろそろピークを迎えたようだ。
そう言えば、朝晩の虫の声は「リー、リンリンリン」と主役は変わって来ている。

[写真]農園前の田んぼの稲穂が垂れている様子

農園周辺では、稲が黄金色に変わり、頭を垂れている。
この早生の出来は上々と聞く。
盆休み明けには、コンバインでたいそう賑わうに違いない。

( 秋色へ by 農園主 )

2015/08/15(Sat) ハツラツ

摘葉を一通り終えた。
それぞれの品種ともに順調な生育である。
心配していた“かなみひめ”もその気になってきたようだ。
溌剌としている。

[写真]摘葉を終えたばかりの“かなみひめ”の苗の様子

「作りづらいったらありゃしない」
“かなみひめ”を作ったことのある農家は必ず言う。
病気に弱い、虫にも弱い。
その上、育苗期には肝心な根の活着が遅いときている。
しかし、気まぐれ娘は一度ギアが入れば、どんどん走り出す。
ただ、飛ばし過ぎに気を付けなければいけない時期でもある。
1ヶ月先の花芽分化がすでに視野に入って来たからだ。
分化を促すためにはチッソ分(肥料分)のバランスが求められる。
チッソ分を軽減していくことで適度なストレスを与えていくのである。

( 次のステージへ by 農園主 )